GP Letter

2010.02.19

佐藤琢磨



残念ながらと言うべきか、あるいは良かったというべきだろうか?
F1での去就が注目されていた佐藤琢磨が2010年はインディーカーシリーズへ参戦を発表した。
最後までF1に拘り、数チームと交渉をしていたが思うような結果は得られなかった...


しかし会見で本人が語った「今の自分に一番必要なのはレースだ」という気持が、
全てを語っているのではないだろうか?
佐藤琢磨がF1グランプリに拘る気持は良く判る、それは僕ら写真家にとっても同じことだから。
やはりモータースポーツの頂点=F1というイメージは捨て難いものだ、
だからこそ彼がどんな思いで決断を下したのか?
彼の胸中思うほどに、その決断には拍手を送りたいと思う。


「レーシングドライバーとしてこれ以上待つことはできなかった...」
マシンに乗って走ってこそのレーシングドライバー、
そこに全ての真実があり、彼のステージがある。
新しい世界に飛び込む希有のファイターを今、心からの拍手で送りたいと思う...

2010.02.14

JEREZ TEST Day 4


今朝ホテルを出る時間はまだ雨が降っていた...
憂鬱な気分でサーキットに到着、渋々カッパの用意を始める。
しかし、思っていたよりも早く雨は上がり、
路面こそ最初は濡れていたが、それも走行を重ねるうちに乾き出してきた。
午後に入ると曇り空ながら、薄日が射す場面も見られたが、
終日冷たい風が吹き続け体感温度は低く感じられた。
4日間のテストの半分以上が雨、テスト部隊にとっては辛いヘレスであった...


しかしそんな中で、この4日間で1日は晴れ、残りの1日もほぼドライで走れた男がいた。
マイケル・シューマッハがそうであった!
(メルセデスだけが毎日ドライバーを交代、他は2日間で交代)
その勝負強さというか、運の強さと言うべきか、
両日ともドライコンディションで走れたただ一人のドライバーなのだから。
(ルノーのクビサは2日目に急遽ドライブする事に決定したので)


やはり7度のワールドチャンピオンは伊達じゃないと妙に納得させられた(笑)
勝負事に運はつき物、今シーズン彼のパートナーとなるロズベルグ、
マイケルと組むこのシーズンは彼にとって想像以上に厳しいものになるかもしれない、
勝負師に運は絶対に必要なものだから。


相対的に天候に恵まれなかったヘレス・テストだが、
これでシーズン前の僕自身のウォームアップは終わった。
あとは心して開幕戦を待つばかりである。



今日はまるで頑張ったご褒美のように、テスト終盤でいいシーンを見せてもらった。
数周に及ぶハミルトンとマイケルの意地の張り合いとも思えるバトル、
テストなのに本気に見えるバトル、これは中々見応えがあった!
そういえば今シーズンはチャンピオン経験者が4人もいるので、
こんなバトルが頻繁に見られるかもしれない。
いや、絶対に見たい!(笑)
そう思うと、勝手だが久しぶりに開幕戦が待ち遠しいのである!

2010.02.13

JEREZ TEST Day 3



走行開始直後から降り出した雨は止むことなく、
終日ウエットからエクストリームウェザーという1日だった...
開幕戦のバーレーンがほぼ間違いなくドライ・コンディションなので(笑)
ドライで走り込みたいところだが、
各チームにもよるが、後半2日間のテストを担当するドライバーは厳しいことに。


中にはルノーのように急遽ドライバーを変更して走らせるチームもある、
またメルセデスGPのように1日交代というチームもある。
しかし大方のチームは前後半2日ずつと分けているので、
これは担当ドライバーの運ということで済ますしかないのだろう。


また気温も7℃と低く、路面温度も10℃前後では、
開幕戦のテストとしては少し厳しすぎる条件だ。


基本的に公式テストは来週末のバルセロナが最後になる、
だが今年のヨーロッパの天候を考えると何とも言い難いテストになるかもしれない。
ドライバーとチームの為にも、そして僕自身の為にも(笑)
何としても最終日の天候が回復する事を心から願っている。

2010.02.12

JEREZ TEST Day 2



昨日の予報では今日も雨...のはずだったけど、
晴れ男の勢いで素晴らしい天気の一日に変えてしまった!
こんなに予報が外れる事もあるのか?
スペインの天気予報にある意味で感謝(笑)


今日は誰よりも何よりもマイケルが本当に走るのか?
それを我が目で確認したくて、
最初のワンラップはカメラも構えずにただ見守っていた。
コースインしてくる赤いヘルメットは本当にマイケルだ!


7回のワールドチャンピオン。
デビューから引退まで撮り続けてきた相手だけに、
そしてフランスで日本人の僕が撮ったマイケルの写真集が発売されたという経緯もあり、
それだけに人一倍複雑な気持もあるけれど、また嬉しさもあるのだ...


ひとしきりマイケルを撮ったら、撮影はもう終わってもいいかも!
そんな気分になっていた(笑)
しかしこの晴天がいつまで続くか判らないし、
そう思うと、少しの晴れ間も勿体なく感じ、
結果的には見事に8時間、ずっとコース上にいることに...(爆)



テストでは同じアングルで各車を撮影する事もあるのだが、
これが結構難儀なもの。
各チームのピットイン、アウトのタイミングによって、
こちらの思うように(願うように)走ってこないので、
1カ所で全車を撮影する為に2〜3時間を要する事もある。


だが今日のような天気ならば、それもさほど気にはならない!
むしろ時間待ちする間も良い気分でいられるのだから、
やはり僕にとって「晴天」はメンタル面においても欠かせないものなのだ(笑)


タイム的な事は、大幅にレギュレーションの変更を伴った、
今の時期のテストということを考えればあまり参照にはならない。
このヘレスではフルタンク状態のマシンと、空タンクのマシンでは、
ラップあたり4秒も差が出てしまうほどだ。


これは実戦においては、どの状態のマシンに最高のバランスを持ってくるか?
給油禁止による車重の増加と、タイヤの摩耗も考えて作戦を組上げる。
チームの作戦、ドライバーの感覚も含め、
昨年までのように、単に速いマシンを作り上げるだけでは今年は勝てない。
極端な話、予選のポールポジションがレースで最下位とい可能性もある。


昨年よりもレースとして難しくなったか?そんな気もする。
重量増加分だけでもマシンは止まらないし加速も鈍る、
そんな中でも基本的には速いマシンは必要だ。
燃料タンクを大きくした分だけ車軸が伸びて、マシンの操作性どうなるのか?
例えばモナコの走りではどうなるのか?


何とも疑問だらけだが、現時点では想像でしか話ができない。
どのチームも試行錯誤を繰り返しながらセッテイングを詰めている...
個人的には様々な意味において、実に興味深いシーズン開幕戦になるかもしれない。

2010.02.11

JEREZ TEST Day 1


さあ、様々な情報が飛び交い、
憶測と思惑に彩られた2010年のシーズン開幕が間近に迫ってきた。
今シーズン2度目のオフのテストに、新しい撮影機材投入のテストも含め、
そして何よりも自らが開幕ダッシュについていけるようにと、僕も参加する事に。


いつものように成田からパリへ、
そしてマドリッドへ向かい、さらにヘレスへと飛ぶ。
成田を出てからおよそ24時間、
シーズン中は当たり前のスケジュールだが、
オフで時差の無い生活に慣れ親しんだ体にはやはり慣らしが必要だ。


ヘレス、もうしばらく行ってないかもしれない...
最後に行ったのはいつだったろうか?記憶にも定かではない(笑)
しかし到着して車をピックアップして走り始めると、
その街並は僕の記憶と寸分違わず、
何も変わっていない素晴らしさを改めて実感する。


これがヨーロッパの良さ!懐かしい日々が蘇る。
1987年当時、オートバイとF1を追いかけるシーズンを過ごしていた僕は、
充分な資金も無く、レースウィークエンドの日曜日だけホテルに泊まり、
自分も含め洗濯をしたものだ(笑)


そして日曜日以外は車の中で寝泊まりをして、
F1、オートバイと毎週ヨーロッパを車で移動しながら、
現像、セレクト、発送と各国から日本へ写真を送っていた。
半年余りで7万キロに及んだその走行距離、相棒と言ってもいいルノーのヴァンテアン、
オレンジの実が成った街路樹が更に記憶を蘇らせる...


空港到着後、タラップで機体を降りてターミナルまで歩くのだが、
地上に降りると風は暖かく、心地良い。
そして碧空すら覗いているではないか?
しかしこの晴天が単に僕の歓迎の為だったとは思ってもいなかった...(笑)




一夜明けて、テスト初日。
まだ陽射しは雲の隙間から射し込んでいる。
大丈夫かな?そう思いながら午前9時のセッション開始に合わせて僕もコースイン、
しかし、ものの30分もしないうちにポツリときた...
と思ったのも束の間、気がつけば空一面が厚い雲に覆われている、
あっという間に、しっかりとウエット・コンディションに変わってしまった。


自他ともに認める大の雨嫌い。
それだけに撮影意欲も大幅にダウン...
しかし天気予報は4日間とも雨、
ならばと、気合いを入れてカメラにも本人にもカッパを着せて挑むのだが(笑)
何とか昼間で頑張れば...そう思い全身濡れ鼠。


しかし、ここで問題発覚!
セッションは何と9時から5時まで。休憩無し、ランチ無し!
えっ?ヨーロッパ人がランチ抜きで仕事するの?
僕の常識ではあり得ないよ!
しかもここはスペイン、言わずと知れたシエスタ(午睡)の国、
オフィシャルがよくも受け入れてくれたものだ。


しかしそんなスケジュールでは僕も文句は言えない。
やむなく濡れたまま、更にコース上で撮影続行、
そもそもテストではガレージ内の撮影はほとんど不可能なので、
おのずとコースにいる時間が多くなる。
そしてピットなら少なくとも雨は凌げるのだが、コースには屋根が無い。


そんな訳で今日はとてつもなく長く辛い一日だった...
雨に濡れて空腹を抱えても、8時半までは我慢。
こうなりゃ熱いお風呂に直行するしかないね!


ホテルで聞いても、ネットで調べても、
ようするに、どこで誰に聞いても明日からも予報はずっと雨。
撮影のオーダーは基本的には晴れを想定しているものばかり、
これじゃあ4日間では終わらないかも...
せめて一日だけでも晴れ間を!