

今日も雲は多いながらも、晴天の続くハンガロリンク。
30℃に達する気温の中で行われた予選の結果だが、
ポールポジションはハミルトン、次いでコバライネンの順で、
約1年ぶりとなるマクラーレンのフロント・ロー独占。
そしてマッサ、クビサと続き、5番手にトヨタのT・グロック、
そのうしろ何と6番グリッドにライコネンがいる。
イギリスGP以来、ここ数戦フェラーリの様子がおかしい。
特にライコネンは生彩を欠き、本来の彼らしからぬ、
まるでスランプに陥ってしまったかのような状態が続いている。
特に今日の予選の6番手は全く予想外のポジションであった。
シーズン折り返しの時点では、
フェラーリのマシンの方がやや有利か?そう思われていたのだが、
この結果は予想以上にマクラーレンの開発が巧く進んだという事実でもあるが、
それと同時にライコネン自身にお騒がせのトラブルも続き、
マスコミに追われる事の多かった最近の彼を取り巻く状況も、
少なくとも何らかの影響を及ぼしているのかも知れないと思うと、
あまり気分の良いものではない。
いま僕が一番気になるライコネンのモチベーションだが、
念願の世界チャンピオンとして挑んでいる今年のシーズンは、
その立場もあり、公私を問わずマスコミに露出する機会が増えた。
そして元々が自己表現の得意な方ではなく、
対マスコミも苦手としているライコネンにとっては、
ワールド・チャンピオンに伴うマスコミからの視線や注目度は、
相当煩わしいものに思えるのだろう。
「嫌気がさしている」と言ったら言い過ぎかもしれないが、
どこへ行っても追いかけるカメラのフラッシュの数は、
常人なら平常心でいられるはずはないと思えるほどだ。
もちろん、僕もマスコミ側の人間である。
だから追いかける側の立場、そして理由も気持も判る、
しかし何事にも「節度」はあると思うし、
取材する側にも「常識」や「節操」は必要だと思っている。
レース前の集中している時に目の前でフラッシュをバンバン焚かれたら、
そりゃライコネンじゃなくてもいい気はしないだろう。
やはり基本は人としてお互いをリスペクトし、認め、譲り合う気持がなければならない。
スタート直前のグリッドにマシンが並んでから約15分間。
スタートを撮影するポイントまで移動する時間を考えるとこれが撮影できるギリギリの時間。
そしてその場面において相手を思いやるやさしい気持を持って行動するとどうなるか?
結果的にほとんど面白味のある写真は撮ることはできず、
時間はいとも簡単に過ぎて行くのである。
つまり、現状ではやった者勝ち、撮った者勝ちなのだ。
だが僕はそんな状況に納得しているわけではなく、
何とかしなければという思いもあるので、非情に残念な気持で一杯だ。
優しい気持で接して、結果的に面白い写真が撮れなくても、
それは仕方ないし、それでも構わないと思っている。
それはサーキットでの主役はドライバーであって、
断じてカメラマンではないと思うからだ。
だから僕はワイドレンズで何でもかんでもストロボ付けて、
他人よりも被写体に1cmでも近寄ることしか考えていない、
まさにパパラッチそのもののカメラマン達とは一線を画し、
あえて望遠レンズで距離を置いて狙う。
そして今だ!と思ったその瞬間に、
結果的には多くの場合はパパラッチの大群に、
あっというまにフレームが埋め尽くされてしまうのだが…(苦笑)
その時「もっと前に近寄れば良かったんだよ…」
その瞬間を後悔するような悪の気持と、いやこれでいいんだよという良心が、
僕の心の中でせめぎ合いを繰り広げる。
だがそんな僅かなチャンスに賭け、自分のスタイルを貫き通すことも、
立派な自己表現の手段だと僕は思っている。
もちろん面白い写真が撮れる確率は低くなるわけで、
F1SCENEデザイナーのTはもっと刺激的な写真を!と、
必死に僕の悪い心を刺激しようとするのだが、
残念ながら僕の心の中のバランスは目下のところ良好で、
良心が勝っているので悪しからずということだ。(笑)