GP Letter

2008.08.25

EUROPE GP / VALENCIA (Sunday)



朝から碧空が広がり今日は決勝に相応しい天気となった...
暑くなりそうな予感は当たり、30℃を超す気温の中でのレース、
もちろんドライバーもだが、撮影する僕らにもかなり厳しい条件だ。


このバレンシア・サーキットは市街地でありながら、
5キロ超える距離があり、モナコのようにアップダウンは無いが、
湾を囲んでのコースなので思うように移動ができない。


特にコースの外側を撮影ポイントに選んだ場合は、
一旦コースに出たら、ほぼ全ての行程を歩いて移動をしなければならず、
その為には移動に費やす時間と撮影の時間、そしてレース全体の流れ、
ラップ数などを把握していなければならない。


52周、およそ1時間30分のレース、
その限られた時間内にどれだけの撮影をこなすことができるか?
当然、金曜日から撮影メニューを考慮して動くのだが、
時としてスペシャルなオーダーが入ったりすると、
思惑通りにいかずに、てんてこ舞いすることになる。


実は今回のレースはブリヂストン・タイヤの200戦目に当たるレースで、
その「200」という数字が表記されている看板を背景に撮影をして欲しい。
とクライアントからの要望があり、金曜日から撮影をしていたのだが、
天候の関係もあり、やはり綺麗な晴天の方がいいということで、
決勝での撮影となった。


しかし、その撮影ポイントは実はピットからは一番遠い場所に位置している。
だがグリッドに付いたマシンやドライバーはやはり撮影したい...
しかしそれを撮影していると、狙っている場所に移動する時間が厳しい...
ジレンマの末、僕の結論はその無理を何とか可能にすることを選択した。


不可能を可能にするといっても、この場合頼りになるのは自分の「足」だけだ。
オリンピック選手でもない普通の僕が、20キロ近い装備を背負い、
10分間で移動できる距離は知れいている...
机上の計算ではギリギリで到達可能なはず。
後は自分を信じてひたすら歩くのみだ!


予定通り、グリッドでの撮影を終わらせ、一目散に一番遠いポイントまで歩く!
流れる汗が目に入るが、それでも歩く、ひたすら歩く、
橋を渡り、目的のポイントに辿り着いた時にスタートの爆音が響いてきた。
セーフ!僕の前にマシンが表れるまでに1分以上時間があった。

しかしポールポジションからスタートしたマッサは本当に強い、
終わってみればハミルトンに5秒以上差をつけ、
ハンガリーの借りをキッチリと返したレース振りは見事であった。
これでチャンピオン争いに復帰である。


久しぶりのクビサの表彰台、そしてトルゥーリ、グロックのトヨタ勢も
揃ってポイントを獲得し、期待のベッテルも6位入賞と好調を維持している。
後半戦の出足でつまずいたライコネン、手堅いマクラーレン、
さて次のベルギー、イタリアの連戦でどんな構図となり、
グランプリは最終章に向かうのだろうか?

2008.08.24

EUROPE GP / VALENCIA (Saturday)



今日はホテルを出てサーキットに向かうとすぐに雨に降られ、
空を見渡しても一面の雲、もしかしたら...そんな一日の始まりだった。
しかし、実際には曇り空ながら予選まで雨の影響はほとんどなく、
また予選後のGP2のレースでは強い陽射しさえも戻ってきた。


通常のサーキットではパドックエリアにモーターホームが並び、
人々はその間を行き交う。
しかし、このバレンシアのコースは海沿いにあり、
なおかつそのパドックエリアに昨年バレンシアで開催された、
第32回アメリカズカップで使用した倉庫を使うなど、
港らしい独特の雰囲気が漂っている。


肝心の予選だが、やはりと言うべきだろうか?
昨日のフリー走行から僕が期待したドライバー達は、
残念ながら全てQ2で沈んでしまった...
終わってみれば当然のごとくフェラーリ、マクラーレンが
フロント・ローを分け合っていた。


3番手に久しぶりにBMWのクビサが食い込み、
最近好調のトロ・ロッソのベッテルが6番手に入ったのは個人的には嬉しい。
特にこのS・ベッテルは僕が最も期待している若手なのだが、
来期は兄貴分に当たるレッドブルでのドライビングが決まっており、
今一番「旬」のドライバーかもしれない。


残念ながら日本勢は目立たない一日だった。
中嶋一貴は昨日の走り始めからいいペースでセッティングを詰めていたので、
実は密かに期待をしていたのだが、
ホントにあと一息というところで残念ながら初のQ3進出はならなかった。


このバレンシアのコースはストリートコースとはいえ、
エスケープゾーンも広く、モナコよりは遥かにミスに寛容なサーキットかもしれない。
しかし、そうはいってもタイヤバリアの先はコンクリート・ウォールだ。
そして実際に走り出してみると、
思っていた以上に抜き所のないコースであることも判った。
となると勝負はスタート、そしてピットが鍵を握る。


明日の天気や路面状況にも依るだろうが、
今日のGP2のレースでもここでアクシデントが起きている第2、3コーナー、
まずスタート直後のこのコーナーをどうクリアするか?
これが明日のレースの大きなポイントになると思う。


その意味ではここでポールポジションを獲得したマッサは、
大きなアドバンテージを持ったと言えるだろう。
ハンガリーでほぼ手中に収めていた勝利を逃した痛手を取り返し、
再びチャンピオンシップ争い戦線に名乗りを上げることができるだろうか?

2008.08.23

EUROPE GP / VALENCIA (Friday)



数字的には30℃だが、実際の体感は湿度もあるので、
もっと暑く感じた一日だった。
昨日の木曜日にはF1だけではなく、
GP2も各チーム、各ドライバーが、
コースを歩き、あるいはスクーターで何周も走り、
コーナーの縁石や路面を入念にチェックをしている様子が見られ、
ここが初めてのサーキットなんだと再認識する。


もちろん僕らも新しいコースは一周を歩いてチェックするのだが、
ドライバー達と異なる点は、
彼らは1コーナーから順番に回っていくのだが、
僕らカメラマンはチェッカーラインから逆回りに歩くということだ。
それは別に僕らがヘソ曲がりなわけではなく、
写真を撮る際には基本的には走ってくる車を正面から撮るので、
逆回りが普通なのである。


5月のバルセロナに続き二度目のスペインでのGPだが、
F1は一国一開催が基本なので、
名称はヨーロッパGPと便宜上違う呼称を使用している。
この辺りF1の曖昧で都合のいい面を見るようで、
若干不満はあるのだが...


しかし、今日は地元スペインのアロンソが頑張り、
フリー走行でライコネンと100分の2秒差での2番手と気を吐いた。
更に3番手にはホンダのバトンと続き、新鮮な顔ぶれが上位に並び、
夏休みでリフレッシュされた感じがあっていいではないか?


できれば失速せずにこのまま明日の予選も頑張って欲しいのだが、
果たしてどうだろうか?その意味では、
マクラーレンの5番手、6番手というのが少し不気味でもあるのだが...


時間現地で午後8時51分を過ぎようとしているが、
現在、表は激しい夕立のようである。
しかし、週末を通してさほど悪い予報は出ていないので、
暑く激しいレースになりそうな予感がする。


そして、このサーキットは観客席やコースサイドで見るよりも、
間違いなくテレビ観戦が見応えもあり面白いだろうと、
今日一日撮影していて感じた。
だから今週末のレースは必見だ!

2008.08.22

EUROPE GP / VALENCIA (Thursday)



今年初開催のバレンシアでの市街地レース、
先月、ローカルレースを開催したとはいっても、F1は初めての開催で、
何がどうなのか全くの手探り状態。
そこで春先にホテルをオーガナイザーに問い合わせたら、
紹介されたホテルが何と1泊300ユーロ!から、
これって通常の5倍はするレートなんだけど...


どうしてオフィシャルホテルを選び、リーズナブルな値段で関係者に割り当てないのだろうか?
やはり「来られるものなら来てみなさい!」「別に来なくてもいいのよ」というのが本音なのか?
修行の様なF1取材(笑)しかしその修行の先に何があるって訳じゃないのは、
二十数年もF1を追いかけていれば先刻承知のうえ。
難行苦行を乗り越えて、ようやく頂ける1枚のFIAパーマネントパス、
これだけの為に頑張ってきた訳じゃないけれど、何だかな〜という気分は事実。


さて、オーガナイザーが紹介してくれたホテルを丁重にお断りしたものの、
代替えで自力で探したホテルはバレンシアからおよそ100キロ離れた山の中。
A7を南下して70キロ、そこから一般道で30キロほどで、
今回の宿泊先、Muro d'Alcoy という街に到着する。


第一印象は南米、それもメキシコ辺りのイメージの街。
昼は商店も家もブラインドを降ろし、ひっそりとしていて全く人気がなく、
ゴーストタウンの様な気配すら感じる。
ここがバルセロナと同じスペインとは、そしてパリと同じヨーロッパだとは到底思えない...


そしてスペインの常なのだが、夕食の始まりは遅く、
当地に一件見つけた地元スペイン料理のレストランは、午後9時半を過ぎなければ開かない。
午後11時を過ぎても続々と客の集まるレストラン、いったいどこからこんなに人が出てくるのだろうか?
まさに湧いてくるという表現が当て嵌まるような人出、
街の持つ昼と夜の顔の違いに驚かされた。


しかし、F1ってそんなに偉いのか?そんなに凄いのか?
最近のオリンピックもどうかと思うけど、F1はもっと不可思議な世界。
それでも20数年その場所に僕が居続けるということは、どこかに魅力があるのだろうか。


自分とF1の距離があまりに近すぎて、日常に存在するのが当たり前になっているF1、
どうやら今の僕にはこれが決して良い状態とは言えないようだ。
だから、もう少し遠巻きにして、F1を外側から眺めてみるのもいいのかもしれないと思う。


でも、だからってサーキットからホテルが100キロ離れても、それは意味が違うと思うけど...(爆)