GP Letter

2008.09.14

ITALY GP (Sunday)


今日のレースを見ていてM・シューマッハのF1デビュー戦、
雨のスパ・フランコルシャンのレースを思い出したのは僕だけではないだろう。
あの時と同じ鮮烈な印象が昨日の予選で蘇った...


朝からシトシトと降り続く雨はレース中も止むことはなく、
ペースカー先導によるスタートでイタリアGPの決勝レースは開始された。
GP2とは違って、世界最高峰のドライバーが揃っているはずのF1だからこそ、
できれば見たくないスタート・シーンだった...


それにしてもスタートから終始安定した走りで、
ほとんど全ての最年少記録を塗り替え初優勝を果たした、
トロ・ロッソのS・ベッテルは素晴らしかった。
難しいコンディションながらも危なげなく走る様子はむしろ落ち着いていて、
まるで幾度も優勝を重ねているベテランのようにさえ見えた。
今日ばかりはマクラーレンもフェラーリも関係なく、
イタリアGPの全てがベッテルの引き立て役に過ぎなかったようだ。


しかし雨という要素がこんなにもレースに影響を与えるとは思いもしなかった。
速いドライバーはどんな状況でも速い、これがレース界の定説であり、
過去のレースを見てきてその思いは強く僕の記憶に残っている。
もちろんマシンのバランスやチームの戦略も勝利の為には欠かせない要素だ、
だが、コンディションが悪ければ悪いほどドライバーにかかる負担が増える。
すなわちドライバーの「腕」の差が現れることになる。


もちろん現在チャンピオンシップを争っているハミルトンやマッサ、ライコネンらが、
素晴らしいドライバーであることは間違いない。
しかし彼らには、F1界屈指のトップチームのマシンが与えられているのも事実だ。
その点ベッテルの駆るトロロッソのマシンは、
レッドブルのセカンド・チームという位置付けにあり、
そしてフェラーリのカスタマー・エンジンを使用しているのだ。


そのマシンでのポールポジション、そして優勝、
この結果に何の文句があろう?
21才の天才が成し遂げた偉業、僕は手放しで褒め讃えたいと思う。


しかし表彰台に上がり無邪気に喜ぶベッテルの姿は素顔の21才。
おそらくこれから幾度となく表彰台に上がることになるのだろうが、
今日のレースだけは格別な思いとして記憶に残り続けることだろう。
A・セナ、M・シューマッハ、そしてF・アロンソを超える可能性を秘めた逸材、
そんな彼が僕の目の前の表彰台で喜びを全身で表現している!


F1を撮リ続けてきて良かった!
久しぶりにそう思うことのできた至福の瞬間でもあった。

ITALY GP (Saturday)



前回のベルギーに続き雨の予選。
正直に言って僕は雨は嫌いだ、いや嫌いなんてもんではなく大嫌いだ!
だから雨は嫌だなと思っていたのだが、こんな予選を見せてもらえるなら悪くないか?
そう思えるほど、波乱だらけで久しぶりに見応えのある予選だったのではないだろうか。


ライコネン、ハミルトン、クビサがQ2で脱落、それだけでも大波乱。
すでにこの時点で僕はワクワクしていたのだが、
さらに何と言っても僕の一押しのベッテルがフェラーリ、マクラーレンを後続に従えて、
堂々の最年少ポールポジションを獲得したのだからもう言うことはない!


それにしても何と初々しい喜びの姿だろう。
ポールを取り慣れたドライバー達のマンネリ化した喜びの表情、
そのおざなりな喜びの表現に飽き飽きしていた僕には、
ベッテルの新鮮な喜びようが妙に嬉しく、
見ているだけでも楽しくなってくるではないか。


更にベッテルだけではない。
ブルデー、ロズベルグという若手が4、5番手と大健闘、
天気とは裏腹にスカッとした気分の予選だった。
そしてフェラーリもルノーも本家よりも、
カスタマー・エンジンのチームが上位のグリッドという皮肉な結果に終わった。


さてフェラーリが地元でこの予選結果。意地悪いようだが、
明日のガゼッタ(イタリアのスポーツ紙)の記事がある意味で楽しみでもある。
そしてどうやら明日の天気予報も今日と同様に荒れる可能性があるらしい、
しかしここまでレースを面白くしてくれるのなら、
いっそ土砂降りでも構わないか?
そう思えてくるイタリアGPの週末である。

2008.09.12

ITALY GP (Friday)



モンツァで開催されるイタリアGP。
ティフォシの熱い応援振りが話題になるように、
実際に観客の声援の90%以上はフェラーリに送られているような気がする。


F1ファンというよりはフェラーリ・ファンといった方が早い。
熱烈なファンの彼らはグランプリ・ウィークをキャンプサイトで暮らす、
そう、まさに文字通り暮らすのだ!
朝から食事を作り、朝からビールやワインを飲み続け、
キャンプサイトには夜な夜なバーベキューの煙を充満させて、
そしてただひたすらフェラーリを応援しながら過ごす...


そしてもしも仮にフェラーリがリタイアしようものならば、
えっ?と思うほど見事にあっさりと、そして情け容赦なくサーキットを後にする。
愛する度合いが強い分、その反動も大きいのだろうか?
ともかく彼らにとってF1とはフェラーリ以外の何ものでもなく、
フェラーリ以外はF1であっても、F1にあらずというものなのだ(笑)


今日の午前中のモンツァは雷と激しい雨の洗礼を受けた。
撮影後の写真を見ていると、シンガポールのナイトレースの予行演習か?
そう思えるほどの暗さであった。
もちろんシンガポールには照明が充分に用意されているらしいのだが...


モンツァには20年以上通っているが、セッション中にこんな雨は始めてだ。
いつもの定番ポイントで朝の光が木漏れ日となって射し込むカットを狙いにいったのだが、
きょうはそれどころではなかった...
降り出した雨は激しさを増し、マシンは走ることを止めてしまった。


こうなると何もできない。大木の下で雨宿りをしていると、
濡れネズミ状態の僕をあまりにも可哀想に思ったのだろうか、
親切なオフィシャルが自分の車の中へ入れと誘ってくれた。
「グラッツィエ!!」本当に嬉しかったのだ、
ずぶ濡れのまま車に乗り込むのは申し訳ない...と遠慮していると、
「気にするな!いいから入れよ」と言ってくれた。


僕はカッパに付いた雨を少しでも多く払って、遠慮がちにリアシートに収まった。
「腹は減ってないか?」そんな至れり尽くせりな...
さすがに僕でもそれは遠慮した。


結局雨のままセッションは中断、終了した。
そして僕はそのマーシャルと車の記念写真を一枚撮ると、
延々歩いてパドックまでもどったのであった。


しかし、午後に入ると急速に天気は回復する。
F1の午後のフリー走行が始まる頃には碧空が広がり、
雨上がりの湿気とあいまって蒸し暑いではないか。
そしてそのまま今日は綺麗な碧空で一日を終えるのだが、
実は明日も今日のような天気だと予報が出ている。


モンツァは初秋の光が綺麗で好きなサーキットなのに...
そして雨はスパで充分なのに、
思うようにはいかないものだ。