GP Letter

2007.03.18

AUSTRALIA GP (Sunday)



決勝レースを待ち焦がれる、こんな気持ちは久しぶりだった。
空は朝から蒼く高く、気持ちの良い一日を予感させてくれる。
21年目のシーズンの開幕、昨日までの違和感と足掻きは失せ、
ようやく現実と自分の気持ちがシンクロしてきた。


早朝からプレスルームでデータを送りながら、
次々とモニターに映し出される盛りだくさんのサポートレースを眺める。
それにしても本当にイベントの好きな国だ、まるで観客を飽きさせてはならぬとばかりに、
分単位、いや秒単位でスケジュールは進行する。


オーストラリアGP恒例のドライバー集合写真の撮影を終えると、
ドライバーズ・パレードが始まり、そしてこれまた華やかなオープニングセレモニーを経て、
いよいよスタートとなる。


2007年シーズンを占う開幕戦、
写真を撮る方も自然と緊張感と高揚感に包まれてくる。
さあ、来い!フレーミングを決めピントを合わせ、
1コーナーへ我先にと向かう集団を狙う。
ある意味ではこの瞬間が写真家として至福の時かもしれない...


結果を見ればSAF1以外はそれほど驚くようなことはない。
やはりテストシーズンの結果が物語っているように、
フェラーリ、マクラーレンの2強を柱に展開していきそうだ。
開幕の3連戦は大幅なアップデートができないので、
中盤に位置するチームにも充分チャンスはある。
そんな意味でも、2007年シ−ズンは面白いかもしれない。


さあ、次戦はマレーシア、バーレンの連戦。
我々にとても過酷な2レースだ。
だが、今年に限っていえば楽しめそうなレース展開をしてくれそうなので、
少しは気が楽だというのが本音でもある。

2007.03.17

AUSTRALIA GP (Saturday)



午前中のフリー走行でシングル・ポジションの4位と9位。
昨年のテール・エンダーから大躍進!
「信じられないよ...」鈴木亜久里の声が上ずっている。
「しかし予選はこのままでは行かないだろうね」そして、
「でも、もしかしたらファースト・ラウンドは突破できるかも」
と笑顔で続けた。


結果的には佐藤琢磨が10番グリッド、A・デビッドソンは11番グリッド。
昨年から始まったノックダウン方式の予選では、
常にファースト・ラウンドで脱落していた。
それが開幕戦でしかも新車の「SA07」がこの結果をもたらすとは...
周囲の誰もが驚いたのはいうまでもない。
1年間、耐え忍んだシーズンがこの喜びをプレゼントしてくれた!
僕にはそう思えた。


まるで勝ったかのように大騒ぎをしているチーム・クルー達と握手を交わし、
喜びの抱擁を誰彼となく繰り返し、歓喜の瞬間を分かち合った鈴木亜久里、
ガレージを抜けた瞬間、彼の表情から笑顔は消え、むしろ厳しさを増していた。
遠巻きにどうしたのか?と様子を伺っていると、
すかさずサングラスをかけ、どっと集まってきた日本人メディアにいつもの様子で向かい合った。
そしてお決まりの質疑応答の繰り返し、リザルトからみれば素直に喜んでいいのだが、
彼の視線の先にあるものを僕は知っているので、複雑な気分は僕も同じこと。


だが今日は素直に喜ぼう!明日は明日の風が吹く。
結果は誰にも判らない、だからこそ今日は今日の喜びを噛み締めようではないか?
そしてまた明日もベストを尽くせばそれでいい。
その小さな波の繰り返しが、いつしか大きな波動となり、
大きな結果を導き出す、そう信じているから頑張れる。


「小さなチームは隙間を狙っていくしかないんだよね」
「だからこそ、この開幕3戦が僕らには大切なんだ!」
例年、荒れる開幕戦だからこそ、その言葉が重く感じる。
明日のレース、久しぶりに楽しみなレースになった。

2007.03.15

AUSTRALIA GP (Thursday)



開幕の地オーストラリア、メルボルン。
現地時間、3月15日(木曜)午後2時過ぎの外気温は既に35℃を超えている...
暖冬で例年になく暖かい冬を過ごしたので、
いつもほどは温度差を感じないで済んでいるが、
とはいえやはり35℃は暑い!


そして開幕戦は決まり事が多く、
実際にマシンが走り出すまでにかなりの撮影課題をこなさなくてはならず、
毎度のことだが、日曜の決勝前に売り切れに近い状態に陥ることもままある。(笑)
昨年はバーレンに譲った開幕戦の場を、今年はキッチリと引き戻し開幕戦に返り咲いたメルボルン。
オーストラリアGPは伝統的にイベントが多く、月曜日からサポートのレースが始まっていて、
この流れは日曜のF1の直前まで続くのである。
今回はSAF1のSA07のお披露目がサーキットであるので、
実質、水曜日から撮影を開始している。
年々早まる撮影スケジュール、急かされるデータの送信、
あ〜なんとフィルム時代の懐かしいこと...


かつてオーストラリアGPが最終戦だったころ、
タイトル争いも決まり、消化レースのようでさえあり、
1週間に11ラウンドもしたことがあった...(何の話しだ?笑)
これも今は昔の話しである。


スピード化される仕事のワークフローによって、
サーキットには純粋に仕事のために通っている現在の状況、
果たしてこれは幸せなのだろうか?
かつて僕の仕事には「サーキット」以外にも「旅」という楽しみが伴っていたはず。
旅先で出会う美味しい食事や一瞬垣間みる素晴らしい光景、
どこかに置き忘れてきているそんな楽しみを今年は取り戻したい。


それにしても開幕戦の地でもまだ足掻いている自分がおかしく、面白い(笑)