GP Letter

2007.06.11

CANADA GP (Sunday)



アクシデントの多いレースだった...
ハイ・スピードトラックだけに、ミスは致命傷になる。


それにしても最後のリスタート後の琢磨の走りは凄まじかった!
失うモノのない強みと言えばそうなのだが、
しかし8位完走でもポイント1点を積み重ねられる状況だったにも拘らず、
あの追い上げには目を見張った。


もちろんアロンソを抜いた瞬間も驚いたが、
何よりもR・シューマッハとの数ラップに渡るバトルは見ていてドキドキした。
「もういいよ、1点でも充分だって!」僕の心の叫びだった...
しかし彼は見事にアタックを仕掛け、
シーズン前には想像もつかなかった6位入賞を成し遂げた。


レース後、鈴木亜久里が開口一番、「いや〜今日のレースはホントに疲れたよ...笑」。
本音だろう、そしてその嬉しそうな口ぶりは「頑張ってF1チームを立ち上げて良かったよ!」
そう言外に言っているように僕には聞こえた。


「次の目標は?」ジャーナリストの質問に「まだ何か望むの?笑」と笑顔で答え、
祝杯のシャンパンを注いだグラスを僕に差し出した。
今日ばかりは、そしてこのシャンパンだけは心から飲みたいと思った。


連戦ゆえレース終了後速やかにチームは撤収作業をしなくてはならない。
その合間をぬってチーム・フォトを撮影したが、
メカニック達も琢磨も、そして鈴木亜久里も本当に嬉しそうだった。


思わぬ成績にまた横槍が入る可能性もある、
そしてもちろん運もあったのも事実。
しかし6位完走は立派な記録であり、
チームの状態を考えれば最高のリザルトだ。


そして忘れてはならないニューヒーローの誕生だ。
L・ハミルトン、今回のレースに限って言えば、
彼のアベレージスピードは異次元だった。
ファーステスト・ラップこそはアロンソが出しているが、
コンスタンシーという部分ではハミルトンの方が速かった。


F1参戦以来ずっと表彰台をキープし、6レース目にして優勝。
どんなにマシンが良くても、これは誰にでもできることではない。
昨年のチャンピオンのアロンソのチームメイトということもあり、
確かにここまではチャレンジャーとして、ある意味では気楽な部分もあったと思う。
しかしここで勝ってしまったことにより、今度は勝者として今まで感じることもなかった、
別のもっと大きなプレッシャーを感じることになる。


僕の興味は次戦のインディアナポリスでのUSGP、
ここでの彼の戦い方に是非注目してみたい。
勝ったレースの次のレースで、何のプレッシャーも感じず、
平常心で戦えるとしたら、それこそ彼はサイボーグかもしれない。
ハミルトンはもしかしたらマイケルのように、いやマイケル以上の才能の持ち主なのか?
USGPが楽しみになってきた。

2007.06.10

CANADA GP (Saturday)



ついにと言うべきだろうか、それともやっと、と言うべきだろうか?
ルーキーとしては脅威の戦績を残し、開幕戦から連続して表彰台に登り、
王者アロンソとポイントリーダーを分け合っているハミルトンが、
F1参戦6戦目にして、念願の初ポールポジションを獲得し、
これで彼の未体験ゾーンは表彰台の頂点を残すのみとなった...


開幕前に誰もが予想できなかったハミルトンの活躍ぶり。
テストのできないモナコやカナダのようなサーキットでも、
きっちりと成績を残すということは、
彼が非凡な才能の持ち主であることの証でもある。
もちろんマクラーレンのマシンの仕上がりも良いのだろうが、
やはり今は素直に彼の才能を認めたい。


全体を見てみると、スーパーアグリも佐藤琢磨があと一歩でファイナルへ進出という11位と、
チームとしての流れは悪くなく、むしろ本家ホンダの不調ぶりがかなり重症に思える。
そして開幕から僕が目を付けていたウイリアムズのロズベルグが、
デビュー当時の輝きを取り戻しつつあるのも嬉しい。


更にダークホースと言っては失礼だが、
BMWのハイドフェルドも文字通りいぶし銀の活躍を見せており、
中堅チームからトップチームへと意欲を見せているチームとの関係も良く、
今後の展開次第では表彰台の可能性もあると思う。


さて明日のレースだがハミルトン、アロンソのマクラーレン勢がレースを引っ張るのは間違いなく、
ライコネン、マッサ、あるいはハイドフェルド辺りがそのペ−スについて行けるか?
その辺りが見所かもしれない。
天気予報は明日も良い天気のようなので、満員の観客も楽しめる決勝レースになりそうだが、
カナダのコースが意外とタフでマシンのブレーキにも負担がかかることも周知の事実。
そんな意味では何が起こるかわからないレースでもある、
そして新たなヒーロが誕生する予感もするのだが...

2007.06.09

CANADA GP (Friday)


東京から乗り継ぎを入れ22時間、
北米、カナダ、ケベック州のモントリオールに到着。
ここから2週間はカナダ、アメリカと連戦なので、
そのまま北米に滞在することになる。


到着時の気温は16℃、風も強く荒れた天候だったが、
一夜明けて、湿度も低い快適な晴天の一日を過ごしたのち、
今日のフリー走行は湿気も多く、最高気温31℃という蒸し暑い1日で終えた。
緯度的には日本の北海道と同等なので、もっと快適なイメージを持ちがちだが、
実際には結構暑い天候の中でのレースも多い。


そして、今でこそタバコの広告はヨーロッパでも禁止されているが、
当初は北米から始まった展開だった。
1990年代には、煙草の広告が禁止されていたので、
ここでのフェラーリやかつてのリジェ、そして最近ではホンダなど、
タバコ・スポンサーのロゴをを如何に処理するかという、
苦肉の策のデザインや、感心するようなアイデアなどある意味で楽しみでもあった。


だがやはりロゴが入ってデザインは完成することも事実で、
単なるロゴ隠しのストロボや色を塗って隠しただけの対処では格好悪く、
それこそ「F1」というトップカテゴリ−からすると許されない。


カナダ、アメリカのグランプリは様々な意味においてヨーロッパ諸国とは異なる。
我々プレスに対する対応も正反対といってもいいだろう。
北米はホスピタリティーも充実していて、取材に来て欲しいという姿勢だが、
ヨーロッパはどちらかと言えば、来られるものなら来てみろ!
むしろ試練を与えられているような気分になる。(笑)


果たしてどちらが良いのか?もちろん我々の立場からすれば北米に決まってるが、
踏み絵のような試練を与えられているヨーロッパ・スタイルもクセになるので困るのだが...(笑)